明日のコミュニケーション
佐藤尚之
アスキー新書(2011.10)
ソーシャルメディアによるハイパークチコミを期待するならば、発信元(=企業)は共感を持たれなければならない。発信元への共感や信頼は時間をかけてつくられるもの。ウソはすぐ見破られるので、広報だけでなく普段の企業活動が伴っていること。企業と生活者の関係が一過性ではなく継続的な関係になること。生活者からの共感に重要なのは等身大の従業員の言動、商品開発者の強い想い、商品自身への共感。
ソーシャルメディアは人と人との関係を近くして、当事者意識を持たせてくれる。そして「関与する生活者」を産み出す。今まで積極的でなかった人も、発言しやすくなったことで関与するようになる。自分の出来る範囲での関与。「成功したい」「目立ちたい」という意識ではなく、「役に立ちたい」「世の中を変えたい」という意識で。
マスメディア時代、情報はトップダウンだった。家庭のお茶の間に情報が投下されるため、みんなが同じ情報を持っていた。
ネット時代、情報過多になり多くの情報は生活者にスルーされている。
ブログ時代、複数のキーマンが情報発信元になるが、キーマン同士はばらばらに動いている。
ソーシャルメディア時代、キーマン同士がつながり多対多でコミュニケーションが進むようになった。受信者=発信者となりコミュニケーションが連鎖する。
ネット時代にパワーが大いに低下したTVは、ソーシャルメディア時代によみがえっている。ソーシャルメディアとテレビは意外と相性がよい。ツイッターなどでタイムリーな多対多コミュニケーションが容易になると、スポーツやテレビ映画などを同時視聴し、その感想をツイッターで話し合うなど、同じ時間を共有するツールとなっている。
情報過多の時代。この時代の生活者の「安心」とは、信頼できる情報に出合うこと。信頼できる情報は、何が発言されているかより誰が発言しているかが重要。IT時代のコミュニケーションは、まわりまわってもう一度人と人との繋がりに回帰した。
A:attention I:interest D:desire M:memory A:action
A:attention I:interest S:search A:action S:share
S:sympathize I:identify P:participate S:share & spread
パーティシパント→ファン→ロイヤルカスタマー→エバンジェリスト
2012.02.11