2005年8月15日 アメリカ コロラド州 ボールダーを走る
Mesa トレイルの入り口に広がる山々。
トレイルからボールダーの街を望む。
トレイルに広がる大風景①
トレイルに広がる大風景②
2005年夏、アメリカに行こうと心に決めたとき、どうしても行きたい街があった。デンバーだ。
かなり以前になるが、飛行機モノのパニック映画が流行った時期があった。その(たぶん)第一作である「大空港」に登場したデンバーという地名が妙に耳に残ってた。ちなみにこの映画はある高度以下に下がると爆発する爆弾を仕掛けられた飛行機が、紆余曲折を経て、その高度以上に空港を持つデンバーに着陸するというもの。
改めて調べてみると、デンバーは「マイルハイシティー」と呼ばれており、標高1600mにある都市だ。そしてこの街から50kmほど北西に行ったところにある街が、今やアスリートの高地トレーニングのメッカとなったボールダー。せっかくアメリカへ行くのだから、このボールダーでジョギングしようと心に決め、8月14日デンバー空港に降り立ったのだ。
しかし、着陸して驚いた。
とても標高1600mとは思えないほどの広大な大地が広がり、「地平線」を意識させる風景が続き、デンバーの街がどこにあるのかわからない。デンバーから程近いボールダーやコロラドスプリングスの山々はどこにあるのだろうと首をかしげるほどの大地である。
デンバーの16番通りにあるバスターミナル(マーケットストリートステーション)からボールダーへ行くバスはBとBXの2系列だが、BXの方が特急便なのでこちらを利用。特急といっても運賃はかわらず3.75ドル。50kmのバス旅で料金が500円程度というのは驚きだが、バスに乗ろうとして運転手に5ドル札を出すと拒否されてしまったのにも驚いた。ぴったり3.75ドル持ってないと乗せてくれないのだ。そのためバスターミナルには両替窓口がある。なにか昔の競輪場のようなシステムである。
ともあれバスは大地をひた走る。
バスは自転車まで積んでくれるので、バイカーにも便利だ。
バスは小一時間でボールダーの街に入ったが、入ったとたんにこの街が気に入ってしまった。沿道に緑が多く、こじんまりした平屋が並んでいる。日本の街を思い起こさせる何ともほっとさせる風景だ。ガイドブックによるとボールダーは、「日本人が一番住みたい街」「天国に一番近い街」などの形容がついているが、確かにそういわれるだけのことはある街だ。
このバスの終点のボールダー駅には売店があり、水や軽食を手に入れることができる。また通りを一本隔てると、「パールストリートモール」というレストランやショップがならぶこじんまりした通りがあり、走り後の休憩にはもってこい。ということでボールダー駅は走りの出発点にするのにぴったりの場所だ。
ではボールダーのどこを走ったらよいのか?
日本を出る前にインターネットでチェックしてみると、山には縦横無尽にトレイルコースがあるが、その中でアスリートの一番人気はMesaトレイルという片道約6マイルのコース。駅からこのトレイルまでの入り口までは3~4kmあり、しかもだらだらとした登り坂になってるが、通りの左右は閑静な住宅街になっており、その雰囲気を楽しみながら走るのもいい。
トレイル入り口から見る解放的な山様は抜群(左上写真)。ボールダーに来てよかったと誰もが思う風景だと確信できる。トレイル自体は適度なアップダウンが続く未舗装の山道で、不整地の走りに慣れていないとスピードを出すのは難しい。6マイル先の終点に駐車場があるとの情報を得ていたが、ひょっとしたら売店もあるのではないか、コーラくらい飲んでいこうかと思いながら、終点まで残り2~3kmの雄大な下り坂を走る。ここからの風景は1600mの高地にいるとは思えない広大な大地が広がっている。まさにアメリカ大陸を実感できるポイントだ。何枚か写真を撮ってみたが、この雄大さをファインダーに収めるのはとても不可能だと気づき早々に諦める。
終点の駐車場についたら、しかし、駐車場以外に何も無い。
トイレはあるが、水道はない。しかたないので、駅の売店で買ってきたパンをかじり、再び来た道を戻り始めたが、楽しく下ってきた道を逆に登るのは結構きつい。ひらきなおって歩くことにしよう。歩けば歩いたで、写真に絶好のポイントをいくつか発見することができた。
「アスリートに一番人気のトレイル」というだけあって、行きも帰りも頻繁にランナーとすれちがった。もちろんハイカーも多い。トレイルには枝分かれしたコースが多いが、きちんと標識や地図が整備されており、迷うことはない。むしろ積極的に迷って、いろんなコースを探すこともできそうだ。今回は一日だけの走りだったからそんなことはできなかったが、ボールダーにゆっくりと連泊すればそんな楽しみ方ができそうだ。
走った後の着替えは駅のトイレでできる(女性用は不明)。
ひといきついた後は前述のパールストリートモールでふらふらと時間をつぶそう。アスリートの街だけあって、スポーツ用品店・登山用品店が充実している。デンバーからバスで往復2時間、トレイルはゆっくりでも往復4時間。もちろんボールダーで宿泊してもよいが、デンバーからでも日帰りで十分楽しめる。ランナーの聖地はその名を裏切らないすばらしい街だった。
最後に、トレイルにはマウンテンバイクの乗り入れは禁止なのでご注意。