2008年12月27日~09年1月2日 ラオスの旅
プーシーの丘からワットビスンナラート方面を一望する。
プーシーの丘からメコン川を眺める。
シーサワンウォン通りのナイトマーケットではやりのバイキング。約1ドルでお皿に盛り放題。
世界の川を走りたい。そう思い立って、ヨーロッパではドナウ川やライン川、北米ではミシシッピー川を走ってきた。では、アジアを代表する川と言えば何か?
そう、文句なしにメコン川だ。中国の雲南省に発し、インドシナ半島を縦断するあの大河だ。
ではメコン川のどこを走ろうか?
これはに関してはすでに前から決めていた。東南アジアの唯一の内陸国であるラオスしかない。
東南アジアといえば、何かと注目されているのがタイとベトナムだ。観光という観点からはカンボジアが、そして政治面ではネガティブな視点にはなるがミャンマーが話題になることが多い。それに引き換え、我がラオスは東南アジアの中で妙に影が薄い国と言える。
しかし、ラオスには世界遺産であるルアンパバーンという街があり、ヨーロッパの旅人の間では、知る人ぞ知る超人気のスポットとなっている。特に私が行った正月休みの期間は、インドシナ半島では乾季にあたることから、世界の旅人が一気に集まる時期である。
旅の2か月以上前に旅行会社にコンタクトしたときは、すでに航空券はキャンセル待ちの状態。
12月中旬まで連絡がなかったので、これは駄目かなとあきらめたころに、うまいこと空きが出た。
ベトナムのハノイ乗継で、ヴィエンチャンへ。そこから10時間以上かけてバスでルアンパバーンまで移動。10時間のバス旅の間に、1回しか休憩しないというつらい旅だったが、風景を楽しんでいると全然飽きない楽しい旅となった。
ルアンパバーンは小さな町だが、見どころ満載。
朝は6時をすぎないと明るくならないのだが、薄明るくなった街に出るとカメラを抱えた観光客が通りに鈴なり。これはすっかり有名になった僧侶の托鉢を見ようとする集団である。薄暗い朝もやの中、オレンジの袈裟をまとった若い僧侶の列が静かに歩を進める風景は、本来厳かなものであり、どきっとするほど不思議な風景であるはずだが、これだけ観光客が集まっているとちょっと興ざめする。
早々に街を抜けてメコン川を目指そう。
この街は朝10時ごろまではもやがかかり、少し肌寒い。
そのもやの中、ゆったりと流れるメコン川はどろどろに濁っており、日本の川とは全く違う姿をしている。もうひとつ日本と違うのは、河川敷が整備されておらず、いわゆる河川敷のサイクリングコースがないこと。そう、河川敷はじわじわとした斜面が続き、それが川に流れ込んでいるかっこうで、とても川沿いを走ることはできない。川と並行して走る車道があるのでそこを走る。川と道の間には食事ができる屋台がずらっとならんでおり、早朝はみんなで仕込みを始めている。
昼間は屋台を目当ての観光客が集まるのだろうが、今はまだ地元民しか見当たらない。そんな風景の中、あのオレンジの一団がやってきた。托鉢である。観光客が群がることももちろんなく、おごそかな、本当の托鉢が目の前で行われている。これは得をした気分。車道を走る分には走りやすく快適。ときどき川岸に降りる階段がある。下ったところは船着場で、ルアンパバーンを起点に船旅をしようという観光客がぼちぼち集まり始めている。早朝は肌寒くウインドブレーカーが必要だが、身がひきしまり、結構快適なランニングが楽しめる。
宿に戻り、シャワーを浴びて、朝食をとる。
この宿に限らず、朝食やランチは欧米スタイルである。フランスの植民地だったこともあり、パンがとても美味しいとガイドブックにあったが、本当に美味しい。バターも何もつけずにパンだけかじっていても十分堪能できる。
街の真ん中にはプーシーの丘がある。
それほど高くないのだが、ここに登ると街が一望できる。
登るのに2万キープ取られるのがちょっと残念だ。2万キープは本来2ドルなのだが、昨今のドル安のせいで、2ドルでは足りないと止められてしまった。しかたがないので3ドル支払う。しかし、この1ドルの差は結構大きい。後述のようにナイトマーケットの屋台では1万キープ(約1ドル)あればお腹いっぱい食べることができるのだ。
ともあれ、プーシーの丘は絶景。
南国特有の樹木の中に、日本の旧家屋に限りなく近い建物が点在している様は、見ていて飽きない。一日中ここにいてもいいくらいの景色だ。しかし、丘をおりるころには気温がぐんぐん上昇。Tシャツ一枚でも暑いくらい。丘に登るときはウインドブレーカーを着てちょうどよいくらいだったので、一日の気温差はかなり大きいのだろう。
早朝托鉢目当ての観光客で賑わったシーサワンウォン通りは、日中は車やトゥクトゥクでちょっとした渋滞になるが、夕方になると「歩行者天国」に戻り、衣料品中心の屋台がびっしりとならんだナイトマーケットが始まる。もちろん食べ物の屋台もある。美味しいパンに色とりどりの野菜や鶏肉をはさんだサンドイッチも魅力だが、ここはぜひバイキングに立ち寄ろう。前述の写真にあるように、焼きそばやピラフがずらっとならんだバイキングは、1万キープ払ってお皿をもらい、このお皿に1回でどれだけ盛り付けてもOKというシステムだ。
このピラフに限らず、ラオスは何でもおいしい。
前述のパンも美味しいし、ラーメンとうどんのあいのこのような麺類も美味しいし、ビアラーオというラオスビールも美味しい。シーサワンウォン通りで一日ちびちびと飲食しながら時間をつぶすだけでも十分満喫できる。
本当の東南アジアの喧噪とはだいぶ違い、もの静かで欧米人が多いけど、このルアンパバーンは観光客が集中するだけのことはある、滞在しがいのある街でした。