11月の富士山は初体験。五合目は既に氷点下の世界だった。

02年10月27日
トレーニング編の冒頭にもかかわらず、しかも好天に恵まれた日曜日にもかかわらず、今日は何もトレーニングはしなかった。
しかし、気持ちはトレーニングモードに入った。何しろこれまで購入を躊躇し続けてきた、あのCWXを買ってしまった。急に寒さが厳しくなった11月に向けて、しかも山岳トレーニングをするための完璧な準備である。と同時にこのCWXはケプラーチャレンジの持ち物検査の1項目「Polypropylene tights and equivalent」を満足するのではないかとの想いからだ。もちろん、CWXはポリプロピレンではない。だいたい身の回りにあるポリプロピレン製のものといえば、荷造り用の紐である。いくつかのスポーツ用品店、登山用品店をまわったが、あんな素材のウエアにはお目にかかれなかった。ここは、「equivalent」という単語の期待してCWXで押し通そう。

さて、トレーニングメニューのことである。
やはり山岳トレーニングと言えば富士山だ。何も富士山まで行かなくても高尾や丹沢があるのだが、曲がりなりにもシリアスランナーだったころ、気合を入れてトレーニングに励んだ富士山こそが出発点にふさわしい。しかも幸い来週末は3連休である。基本的には丹沢でトレーニングするにしても、初日は富士山に行こう!と心に決めた。11月の富士山はどの程度の気温かわからないが、とりあえず、11月2日は富士吉田駅から7合目(最初の山小屋)まで往復する予定である。以前は軽くできたトレーニングであるが、果たしてどの程度の余裕が残るだろうか?
実に楽しみな来週末である。

02年11月2日
公約(?)どおり富士山に行ってきた。
しかし予想どおりの体力低下から、五合目にたどりつくのがやっと。佐藤小屋の温度計を見ると、何と-2℃。そう言われて見ると軍手をはめていても、指先がじんじんとしびれる感覚がある。考えてみれば、富士山に行くのは夏場だけ。どんなに早くても5月のゴールデンウイークだから、この時期の富士山の状況を全く知らないことに気がついた。

富士吉田駅から中の茶屋までは美しい紅葉が見られたが、馬返しに向かう道や登山道に入ると、早くも紅葉は終わっており、むしろ常緑樹の緑が目立っていた。しかし五合目に近づくと、すべての植物が葉を落とし初め、茶色の強い景色となる。正に秋から冬への季節の移り変わりを数時間で体験できるという貴重な経験ができた。

と「気持ち」の面では充実した一日だったが、肝心の「山登りに対応できる脚」はかなり衰えていることを改めて確信してしまった。う~ん、これから週末ごとに丹沢あたりで鍛えなければならん。

02年11月9日
今週は実に久しぶりに塔ノ岳(丹沢)に登って来た。
小田急線渋沢駅下車、大倉行きバスで15~20分(200円)。以前(10年前?)は木造の小さい店が数件あるだけのバス折り返し場所という程度だったが、今は実にきれいなレストラン入りコンクリート建築物が構えており、すっかり近代的な観光地に成りきっていた。
山道に入っても、崩れやすい箇所はしっかりと木の階段が設置されており、実に快適。昔の記憶だと、塔ノ岳山頂の手前ははだかの滑りやすい坂だったはずだが、階段を登っているうちに、いつの間にか山頂についてしまった。こんな見事な登山道を整備してくれた方々に感謝。
朝方は富士山がきれいに見えていたが、昼に近づくにつれだんだんと雲に隠れる部分が増え、天気予報どおり風が強くなってきた。登るときは気にならなかった段差も、下りのときは驚くほど降りにくい道となる。大倉尾根は登りやすいが、下りにくい。来週は三ノ塔、二ノ塔を回ってヤビツ峠に行ってみよう。

02年11月29日
11月9日塔ノ岳に行ってから数日後、またまた持病になっている左ふくらはぎの違和感が出て、しばらく無理をしない軽めのメニューを消化していた。まあレースまであと1週間あるのでそれなりの走りはできるだろうと安心していたら、今度は悲しいことに口内炎ができてしまい、大変痛い。旅の「食」にこだわる性質だったら非常に悲しい出来事だが、私の場合は日本のどこを旅しても食事はコンビニで済ましても全く問題無い人なのでダメージは少ないものの、この口内炎の痛さは、ニュージーランドでの食事をサンドイッチか何かのテイクアウトで済ませたとしても、結構支障がありそうなレベルである。
レースまで1週間。
ふくらはぎの不安、口内炎。さらに職場では風邪が蔓延して何となく体調も良くなくなってきた。海外での記念すべき初マラソンを間近に、不安材料がこれでもかと襲ってきた。
しかしこういう悪条件が重なるときは意外と無難に走れるもので、逆説的な言い方だが結構気分が楽になっている今日この頃である。
(過去レース中に故障が発生したときを振り返ると、妙に体が軽く、びゅんびゅん飛ばせるときだった)

いよいよ4日後の12月4日水曜日にニュージーランドへ旅立つ。
待ちに待ったケプラーチャレンジは、12月7日。
初めて足を踏み入れる南半球に、いったい何が待っているのだろうか?

レース編へ続く