2002年8月12日。秋田県・大館から小坂まで約20キロのマラニック。
現在は貨物専用となった小坂鉄道と並行して走る。
目的地の小坂町康楽館(こうらくかん)。
涼しさを求めて北東北で夏休みを過ごそうとやってきたが、「涼しさ」の期待を通り越し、寒いくらいの雨模様。JR大館駅についたときはかなり強い雨が降っていた。小1時間待てば小坂行きのバスがあるので、走るのはやめておこうかなと本気で考えるほどの降り方だ。
しかし、せっかく東北まできたのだから思い切って行ってしまおうと意を決して走り始めるたが、大館の街を走っている間は「物好きな人だ」と振り返られることたびたび。地図で確認していたように街を過ぎて山間に入ると人には会わなくなったが、予想外に車の往来が激しくちょっと怖いくらいの道だった。
降ったりやんだりの雨は、小坂町に入るころまたまた強くなってきた。
康楽館周辺は大変ゆったりしたスペースで、本当ならゆっくりと休憩したかったのだが、ゆったりしたオープンスペースは雨の日は逆に身の隠しどころが無い残酷な場所と化してしまう。タウンウオッチングは早々に切り上げ、無人の小坂駅で着替えを済ませ、とりあえず一息。
もともと小坂は金、銀、銅を産する鉱山の町で、秋田県では秋田市につぐ第二の都市だった。ここで産出された鉱物は大館を経由して日本海・能代まで運ばれたが、その重要なルートが小坂鉄道、すなわち私が走ってきた道である。一昔前に栄えたルートを走ろうというのが今回のテーマだったが、走った実感としては交通量はまだまだ多く、現在でも重要な道なのだろう。
ちなみに康楽館は、明治43年に小坂鉱山の厚生施設として誕生したもので、現在でも文化財として公開されるとともに歌舞伎が上演されているそうだ。この日もひとの出入りが多かったので、何か催しが開かれていたのだろう。