礼文滝
林道から礼文滝を目指して下り続ける
最近、「日本の滝1000」という本を発見した。
これは、竹内敏信氏と日本滝写真家協会が学研から発刊した滝の写真集で、
滝の写真はもとより、その滝への行き方や写真の撮り方まで書いてある優れた本だ。
その本を眺めていると、「日本最北端の滝」というワードが眼に入ってきた。
礼文島にある「礼文滝」がおそらく最北端だろうとのこと。
ちょうど日本最北端(宗谷岬)に行こうと計画していたときだから、
迷わず計画に入れることにした。
早朝、フェリーで礼文島の香深に入港した私は、客引きのお兄ちゃんが話し掛けるのを
振り切って、一路「礼文林道」を目指して走り始めた。
香深から元地へ向かう山越えルートの途中から分岐する「礼文林道」は、
登り始めはちょっときついダートコースだが、
平坦になってからはこの世のものとは思えない絶景である。
この日は利尻に雲がかかって見えなかったが、それが残念だと思わせないほど見事な景色。
林道の途中から「礼文滝入口」の標識があるのでそれに従うと、
今度は一転してシングルトラックコースになった。
ぬかるみはあるし、普通の登山道なら「危険につき立入禁止」になるくらいの急斜面を
降りなければならないし、飛び岩を使って川を渡ることも一度や二度ではなかった。
ようやくたどり着いた海岸からしか見ることができないのが「礼文滝」。
先客が一人。ライダーの若者だ。
彼も林道の途中から軽い気持ちで歩き始めたらしい。
しかし、私も彼も途中の辛さを補って余りある美しい滝であるというのが感想であった。
ライダーは元の道を戻っていったが、私は海岸づたいに元地を目指した。
そこは岩浜で「残念行き止まりか」と引き返したくなるほどの難コースだったが、
誰かが残してくれた板や、ロープをつたって何とか人里にたどりついた。
日本最北端の滝「礼文滝」は、山からも海岸からもアプローチが困難であるが、
行く価値は十分ある、時が止まったようなスポットである。
2001年8月11日 香深港→林道→滝→元地→香深港
約20キロ 3時間くらいの行程。