2003年6月7日 しまなみ海道100kmウルトラ遠足

生口橋を渡る。橋上は全般に平坦だが、橋にたどり着くまでが上り坂。

もちろんコースから撮影したものではない。翌日船上から撮った四国へ渡る最後の橋「来島海峡大橋」。

 

広島県福山市の福山城をスタート。しなまみ海道をたどり、愛媛県今治市の今治城にゴールするレース。何となく橋の上を走っているイメージが強いが、よく考えると「橋」と「坂道」はもともと切り離せないもの。また各島内にも結構アップダウンがあり、思い込みは危険だということをつくづく思い知らされた。

実はこのレースは2つの実験を兼ねて臨んだ。
一つ目は、「えびすだいこく」から中2週間で100kmに臨んだこと。中2週で100km→50kmは経験があったが、今後のために試しておこうという実験。
二つ目は、このレースが土曜日開催ということもあり、金曜日就業後に出発。現地に10時半着。翌朝2時半起床という強行日程を組んだこと。
そして結論は見事な失敗だった。

朝5時のスタート前にニューキャッスルホテルのロビーに集まったランナーの数を見て圧倒されてしまった。そういえばここ2レースの100kmはいずれも100人規模のスケール。1000人に迫るレースはつくづく別世界だ。
スタート後は福山から尾道へ続く国道をトラックと並んで走る。「しまなみ海道」の名には相応しくないコースが延々20km続く。そしてようやく最初の橋「尾道大橋」にたどり着くのだが、この橋を渡るまでに正に山登りをしなくてはならない。橋の前後にかなり厳しいアップダウンが伴っている。これは尾道大橋だけでなく、今日一日経験するすべての橋に共通したものだった。

「しまなみ」は橋を渡る平坦コースだ。という思い込みと、制限時間16時間という緩やかさに甘えて先の二つの実験を行ってしまったのだが、尾道大橋でその考えがあっさりと否定されてしまった。「結構厳しいレースになりそう」。

しかしそうは思いながらも、何となく50kmまでたどり着いてしまった。2週前の「えびすだいこく」の中間点通過タイムとあまりかわらない。「ウルトラも回数を重ねれば慣れるものなのだろうか?」と思ったのもつかの間。50kmを越えたところで脚がピタッと止まった。本当はきれいなはずの生口島・サンセットビーチのウッドウオークも、本物のひょっこりひょうたん島も脚の回転数アップには効果がなかった。

その後は「もしかしたら歩くよりは、ちょっとくらい速いかもしれない」という走りを続けていた。歩き出したら二度と走れなくなるような気がした。71.4kmのエイドで「脚大丈夫ですか」と心配されたが、脚が痛いとか、胃が苦しいという状態ではなく、ぷっつりとガソリンが切れたような状態だった。最後の島である大島に辿り着いたが、この島は海岸沿いを走ったこれまでの島と違い、島の真ん中の峠を越えて向こう側に出るという設定。走行距離も80kmを越え、元気な状態であっても辛さを感じるコースだった。

じりじりと陽が照りつける暑い暑い一日もようやく終わりに近づいてきた。
長い長い最後の来島海峡大橋を渡っているとき、明らかに陽は傾き、暑さも和らいできた。橋の上で90kmを通過し、歩幅も少しづつ広くなってきた。四国の地を踏んだのだ。広島県福山市から愛媛県今治市まで走るというコースはもちろん理解していたが、本当に四国まで渡ったときの感動は地図を眺めていても感じ取ることはできないものだった。

残り8kmは今治城に向かってひた走る。ぼろぼろになった私でも抜くことができたランナーたちが、残り3kmになるとどんどん抜き返していった。何だ。力を貯めていたのか。その理由はゴールの今治城に入るとわかった。走り終えたランナーたちがこれでもかの声援を送ってくれる。楽しそうな顔をしないと許してもらえない。そういえばこんな状態になってもリタイヤすることは全く思いつかなかった。少しは成長したということなのか?

今回の二つの実験。
やはり中2週ではエネルギーは半分までしか回復されないようだ。
前日はゆっくり早めに休んだほうが良さそうだ。
結果から言えば実験は失敗だったが、自分の限界を知るには大成功の実験だったとも言える。