2010年9月19日 第1回安芸太田しわいマラソン 88km

序盤のハイライト・奥滝山峡。渓谷のオフロードを7kmほど走ります。

最も辛かった井仁の棚田。登りも下りも走れない!

 

広島県で開催された初のウルトラ。
広島駅から三段峡または浜田(周布)行の高速バスで1時間ほどの加計の街から、さらに車で15分ほど行った温井ダムがスタートゴール。安芸太田をぐるっと一周するアップダウンの激しいコース。前日受付は加計の街にある川・森・文化・交流センター。当日受付は温井ダム。私は当日受付を行ったが、前日受付の後には前夜祭が催され、参加者の話では郷土芸能も披露された内容の濃いものであったとのこと。

この大会は昨年行われた試走会がランナーズに掲載されており、それを読んでからというもの、定期的に「広島県×ウルトラマラソン」のキーワードをチェックし続けていたが、それが功を奏し無事エントリーすることができた。「無事エントリー」というと大げさに聞こえるかもしれないが、エントリーを開始してから数日で200名の定員をオーバーして締め切られたこと考えると、あながち大げさではないだろう。第1回大会ということで、全国各地からウルトラランナーが終結していると思いきや、関東からの参加は10名程度で、ほとんどの参加者が広島、山口だったのはちょっと意外。エントリー募集に気がつかなかったランナーも多かったのだろう。

レースは温水ダムを5時半スタート。
スタート時の気温は14℃。今年の猛暑がしみついてしまった体には結構寒く、ウインドブレーカーを着てスタートしたくらい。しかしスタートしてすぐに登り坂が始まり、あっという間にウインドブレーカーは不要になった。基本的にはオンロードのアップダウンが主体のコースだが、10kmから15km過ぎまでは奥滝山峡のオフロードが続く。このオフロードはゆるやかな上り坂だが、ちゃんと走れる勾配なのと、まだ涼しい時間だったこともあり、実に快適。

このオフロードを越えると恐羅漢スキー場へ向かい、いくつかの峠を越える。確かに厳しいコースではあるが、今年の夏場は珍しく走りこんだことと、最近山のレースに多く参加していることもあり、しっかりと走れているのがうれしい。第1関門(52km)までは木陰も多く、暑さは全く感じなかったのだが、この関門を過ぎてから状況が一変。

木陰がほとんどない国道をひた走るため、たいへん暑い。翌日の新聞によるとこのとき32℃を記録していたのだが、エイドステーションが3kmほどの間隔で設置されていたこともあり、補給は足りすぎるくらい。しかも沿道からは声援の声が絶えない。声援に応えて手を挙げるのが疲れるくらい。

60から往復10kmほどのブランチコースがあり、ここで多くのランナーとすれ違えるのも憎いコース設定。同じ宿に泊まったランナーと挨拶をかわす。このまま快適にゴールできるかと思っていたが、それはちょっとあまかった。後半の山場は70km過ぎの「井仁の棚田」。このレースで初めて歩いてしまったほどの上り坂を越えると、目の前には棚田が広がっている。エイドで補給しながら棚田を堪能したが、実はこの棚田、登りよりも下りがきつかった。ほとんどまともに走れない。登りよりも時間がかかったのではないかと思われるほど。

残り10kmを切ったかな。と思ったころからが長かった。
後述のように、このレースは距離表示がなかった。沿道からは「あと○○km」という声をかけてくれるが、これが結構いい加減。「あと13km」の掛け声の30分後に再び「あと13km」の声を聞くことになった。ともあれ、少しずつゴールの温井ダムに近づく。

最後はレース開催前から早くもこのレースの名物になっていた「ダム登り」。
ダムの一番下から一番上まで階段で上がるのだ。その段数は400段以上。何しろ中間地点にはエイドを設けてくれるほど。楽しみでもあり恐ろしくもあった階段がついに始まった。階段を上るというよりも、階段の手すりにつかまって、ほとんど腕力で登っている感じ。階段を登りきったときの達成感は大きく、ゴール!と思ったが、本当のゴールはここから1km先だった。

基本的にはエイドも充実しているし、暑い中、給水に困ることもなかった。街全体で声援してくれる温かい大会だったが、第1回大会ということもあり、気になる点が2つ。
まず前述したように距離表示がなかったこと。5km毎に設置していただけくことが理想的だが、エイドステーションに「ここは○○km」と書いてくれるだけでも大分違うのではないか。
もうひとつは、私のように公共交通機関を利用している者にとって、レース当日のスタート地点までどうやっていくか、またゴールから宿までどうやって戻るかが最大の心配事。今回は同宿者や宿の方のご厚意で無事往復できたが、ここは改善を求めたい。

前夜祭参加者の話では、来年は500名に増員し、いずれは1000名規模のレースにする方針とのこと。想像していたのとは違い、広島駅から意外と近かったことを考えると、参加者も増えて人気のウルトラになる予感。今後このレースを充実されるために、まず距離表示とレース当日のランナーの脚確保を一考していただきたいものだ。