2002年9月8日 おらが村心臓やぶりフルマラソン大会
スタートの魚梁瀬地区からこの橋を渡ると、いよいよ心臓やぶりの始まりだ
馬路村で生まれて初めて見た「棚田(たなだ)」
JR高知駅からできたての「ごめん・なはり線」に揺られて終点に程近い安田駅へ。そこに待っていてくれた大会事務局のマイクロバスで小1時間。ついに念願の「馬路村」にやってきました。
人口約1200人の小さな村が12年前に始めた村おこしのレース。マラソン日本制覇を目指す前から、ぜひ走ってみたいレースだった。しかし9月は秋田のウルトラに参加することが多く、ずるずると今まで来てしまった。今年「走ろう」と決めた大きな理由は、この時期全日空の超割が設定され、格安で高知までいけることになったからだ。
レースは馬路村中心地からバスで30分ほど山奥に入った魚梁瀬(やなせ)をスタート。ダム湖の周辺を10キロほど走った後、いよいよ心臓やぶりの坂を越えて馬路村へ戻る山道へ向かう。途中トンネルも存在するそのコースは「にちなんおろちマラソン」で熊避けの鈴をつけて走った林道に似ている。上り坂よりも、登りきった後の下り坂のほうが印象に残るコースを、美しい景色を眺めながら楽しくはしることができた。
いよいよ馬路村に戻り、無事ゴール。と思ったが、ちょっと早いんじゃないか?
えっ。まだ25キロ地点ではないか。
そう。このレースの厳しさは実はここから始まるのである。
馬路村中心地周辺を20キロ近く変則的に3周回するという、精神的には一番苦しいコース設定になっているのだ。昨日から暑さが続いていたが、35キロを超えたあたりから一転して大雨。物語でもここまではしないだろう劇的な変化を楽しみながらゴール。このゴールは昨日泊まったコミュニティーセンターの敷地内に設置されているので、ゴールした勢いでそのまま温泉に入れるというすばらしい環境がうれしい。全国のマラソンをすべて調べたわけではないけど、ゴールとお風呂の距離は日本一近いレースだろう。
ゴール後は、会場近くから高知空港経由で高知駅までバスで送ってくれる。今回私は途中下車して室戸岬へ向かったが、便を選べばその日のうちに帰宅できるという、山奥のレースにしては意外と便利なレースだった。
話は前後するが、レース前夜は前夜祭を開いてくれた。マラソンの前夜祭といえば、あっという間に食べ物が無くなってしまうというイメージを持っていたけど、ここでは食べきれないくらいの食べ物を用意してくれた。飲んだり食べたりしながら大会関係者と話をしたが、1200人の村人が一丸となって大会を作ってくれたことを十分実感できた。
この馬路村は「村おこし」の優等生。エイドステーションでたっぷり飲ませてもらった「ごっくん馬路村(ゆずとはちみつのドリンク)」は、高知空港も一角にコーナーを設けて評判になっているもの。人数は少ないけど、あったかく、力強い村人パワーに惹かれて、多くのランナーがリピーターというのもうなづける。ぜひ一度走って欲しい大会だ。