2005年6月4日 阿蘇カルデラスーパーマラソン

「辛いけど眺めは絶景」の描写に間違いなし!

遠く見えるは阿蘇の山。ゴールはもうすぐだ。

 

JR豊肥本線・阿蘇駅からバスで10分。内牧温泉の阿蘇市総合センターが会場。ただしここは前日受付およびゴール会場で、100kmスタートは南阿蘇村総合福祉センター、50kmスタートは阿蘇市役所波野支所で、いずれも内牧からバスで移動することになる。

内牧の会場は温泉街に近く、ゴール後数分で宿泊先の温泉に飛び込むことができるのは、何ともうれしい限りである。レース後のメンタルトレーニングだけはしっかり行っていたが、レース当日の気温予想は熊本市内で30℃を越えようかという暑さ。標高の高い阿蘇地方ではそこまでの気温上昇はなかったものの、水をかぶりながらの一日となった。

内牧からスタート地点へ向かうバスの窓に雨がぽつりぽつり。
これは天気予報が外れたかと一瞬喜んだものの、スタート時には雨の気配なし。しかも20km地点から始まる名物の急坂(5kmで300m駆け上がる)では、じりじりと気温が上昇してきたのを文字通り肌で感じ取れた。「後は下りです」というスタッフの掛け声とは裏腹に、その後もアップダウンを繰り返すコースで、しかも展望は開けず、がまんの走りが続く。

50kmのレストステーションではそばをいただくが、暑さの中、水分を取りすぎたのか、いつものウルトラ以上に早い時間帯に胃袋が食べ物を受け付けなくなっている。去年の秋、秋田の100kmを走ったときに、50km地点でメロンパンとミルクティーを食べ、これが思いのほか快適な昼食となったことを受けて、今回も中間地点の荷物にこの2品を忍ばせておいた。まわりのランナーはそばやおにぎりを頬張っているが、とても恐ろしくてそんなハードなものは口にできなくなっているのが実に残念だ。お腹いっぱい食べて、レース後はビールをあおるようなランニングライフは私はおくれないのだろうか?

しくしくと痛み出した胃袋のあたりをさすり、つまらないことを考えているうちに、いつしか登り坂のパーツが増えてきた。65kmから85kmまで続くだらだらとした登りに入ったようだ。脚も胃も重く、憂鬱な気持ちになりかかっていた風景が一変した。「辛いけれど眺めは絶景」とパンフレットに書かれた言葉に嘘はなかった。高緯度または高山で見られる草原が続き、山肌を一望させてくれる。なぜ九州で、しかも高度が1000mに満たない場所でこのような景観が見られるのか? もちろん、火山活動で一旦森林が焼き払われたためだろう。

88kmから92kmまではこれまで登ってきた高低差を一気に駆け下りる。依然、脚と胃が重いものの、脚を前に出せば自然と距離が稼げるこの区間は、ゴールへ向けての力強い味方になってくれた。しかし、昨日宿で同室のランナーから聞いていたように、急坂を下りきってからの8kmが結構きつかった。しかし、徐々に増える応援の声に後押しされて一歩一歩フィニッシュへの近づいていく。

昨日見慣れた阿蘇市総合センターまで近づくと、ぐるっと1kmほど回されたのはきつかったが、ともかく無事ゴール。会場では飲み物・食べ物が出されていたが、もはやそんな胃袋ではなくなっていた。しかし、そこは昨日のメンタルリハーサルどおり、宿に直行。もちろん温泉大浴場三昧だ。

厳しいコース。暑さに慣れない季節。雄大な景観。そしてたっぷりの温泉。
人気の大会として長く続いている理由がよくわかる。そんな大会だった。