2003年11月2日 あいの土山マラソン
前半は紅葉の青戸ダム方面。眼に楽しい快適なランが続く。
後半は茶畑と民家を縫いながらのラン。意外と厳しいアップダウン。
東海道新幹線や名神高速が関が原を通っているためか、関東に住む私はずっと誤解していたのだが、旧東海道は、名古屋から四日市へ南下し、鈴鹿峠を越えて、この土山に至る。しかし、以前の主要幹線であるにも関わらず、この土山へのアプローチは困難を極める。
大会側が用意してくれたバスを使えば、関西本線の亀山駅や草津線の貴生川駅から、大会会場となる土山町役場まではすんなり来られる。しかしせっかくの3連休だから、どうせなら鈴鹿峠越えでアプローチしよう、と考えてしまった私は意外なほど手間のかかる行程であることに気づかされた。
名古屋からの関西線は亀山止まり。亀山始発の列車を待ち、たったひと駅で降りると、そこは関駅。文字通りの関所の町である。今でも旧街道の雰囲気を残す町並みを過ぎると、国道1号沿いを鈴鹿峠に向かうことになる。どの程度の交通量があるのか検討もつかなかったが、さすがに国道1号である。3連休の初日だというのに、大型トラックがひっきりなしに通り過ぎる。初めは歩道がついていたのだが、途中からこれもなくなり、恐怖を感じるほどの行程。もちろん私以外に歩いている人などいない。
この鈴鹿峠越えは失敗だったかな。
と思った頃、再び歩道が設置されて一安心。さらに、幹線から外れて右方向に旧東海道が出現。片側1車線のしっかりした道であるにも関わらず、車は1台も通らないところだ。もちろん私のような人物には好都合。快適なウオーキングを楽しみ、どんどんと鈴鹿峠に近づいていく。国道1号の鈴鹿峠はトンネルになっているのだが、ここは本格的な登山道になっている本物の東海道を選択。一汗かいたところが鈴鹿峠だった。
この峠を越えると、そこは土山町。
片側2車線の国道1号が真っ直ぐ伸びる。意外と開けた空間が出現した。
とりあえず目安となる「道の駅・あいの土山」で一服。すぐ近くのバス停から、3日間多いにお世話になる「あいくるバス(大人一律250円)」で終点まで行ったところが、今日の宿「かもしか荘」だ。もちろん温泉付。しかも部屋からはきれいな紅葉が眺められる。翌朝、宿のマイクロバスで会場まで送ってくれた。スタートは10:30だから、朝もゆっくり。空には雲はなく、いい天気になりそうだ。
いや。
いい天気ではなく、11月とは思えないほどの暑さになってしまった。
スタートの小1時間前から荷物を更衣室に置き、外で柔軟体操をしていたのだが、全然寒くない。スタート後、かもしか荘方面の青戸ダムを往復するのだが、紅葉を眺めながらも、したたる汗が少し気になった。フルマラソンの10分後にスタートしたハーフマラソンのランナーに追いつかれ、しばらく並走するが、16km地点で別コースになったため、一気に人数が減った。と同時に一気の上り坂が出現した。
今朝配られたパンフレットと、記憶の中の土山の地図を重ね合わせ、前半は山道、後半は平坦とイメージしていたのだが、後半も結構アップダウンがあるではないか。しかも、20km手前なのにもう疲れが出てきた。情けないことだが、昨日の鈴鹿峠越えのダメージが出てきたようだ。
このマラソンは数年前は4時間20分の制限時間がついていた。最近は5時間に延長されたのだが、レースの運営自体は変わっておらず、パンフレットには「(エイドステーション)以外の場所で飲食物をとった競技者は失格させられることがある」と記載されている。スタート前にはゼッケンチェックがあるなど、いわゆる体育会系の運営スタイルだった。
しかし救われたのは、多くの私設エイドを出してもらえたこと。
正規のエイドは水・薄いスポーツドリンク・バナナだけだったが、私設エイドではおにぎりも出してくれた。特に後半は田んぼと民家の間を複雑に折れ曲がるコースだったが、それだけに多くの私設エイドに助けられた。
思えば、このレースに参加する前に、事務局から2回も電話がかかってきた。
1回目はかもしか荘に2泊することの確認。2回目はかもしか荘への送迎バスの時間確認の電話だった。大会によってはバスがあるのかないのかわからない連絡不徹底も珍しくないのだが、土山の親切ぶりは特筆ものである。
暑い1日も、後半になるとぱらぱらと雨が降る時間帯もあり、適度な涼しさがやってきた。向こうがかすんで見えるくらいの直線。くねくねと折れ曲がる田んぼ道。フルマラソンには掟破りとも思える急勾配の登り坂。全部まとめて楽しめるのが「あいの土山」だ。
レース後、フルマラソンには珍しくお金を持って走っていた私は、着替えるより先に、うどんを購入。お腹を満たすことができた。スタート10:30はゆったりしているけど、結構お腹がすくものだ。レース当日帰宅するならば、亀山駅か貴生川駅にバスを出してくれるのだが、かもしか荘にもう1泊する私は再び「あいくるバス」で山に向かう。またあの露天風呂でゆっくり汗を流すことにしよう。