2009年3月22日 つわのSL健康マラソン

往路。沿道に花がいっぱい。

復路。川のせせらぎを聞きながらのラン。

 

47都道府県制覇の2周目は、「フルマラソン以上という距離にこだわるのではなく、距離は短くてもよいから、まだ行ったことがない場所で走ろう」と決めたものの、これまで走った2周目の7県は結局フルマラソン以上。やっぱり旅先で走るなら、もったいないから長い距離にしてしまっていた。でもどこかでフル以下の「実績」をつくろうという気持ちはずっと持っていた。

そしてついに選んだのがこのレース。
島根県は「えびすだいこく」や「隠岐」などの100kmを4回出場、3回完走するなど、不思議なほど足を運んでいる県ではあるが、島根でもっとも人気がある町・津和野にはまだ足を踏み入れたことがなかった。(以前益田から新山口まで鉄道で移動したことはあるが、通過したのみだった)

JR山口線・津和野駅下車、徒歩約10分の役場が受付会場兼スタート・ゴール。津和野川を遡り、途中折り返すコース。10kmの部はハーフの部の半分地点で折り返す。ハーフマラソンがメインであるが、レース後温泉に入り、そして電車で帰ることを考えると、時間的余裕を持って10kmの部に参加することとした。

レース当日は雨。激しくはないが傘をささないとつらいくらいの降り。
やっぱり写真を撮らなくちゃいかん。とデジカメを持ってのスタートだが、10kmレースは当然ペースが速い。走りに体が慣れるまで写真を撮るどころではなかったが、そこは不思議なもので折り返し(5km)が近づくにつれて周りを見る余裕が生まれる。ああ、もう桜が咲いているなあ、ああ、きれいな川だなあ、とデジカメを構えていると、スタッフから「忙しいですねえ」の一言。確かにせわしない走りだが、10kmは10kmなりに疲れる。100kmレースの10kmは序盤も序盤だが、10kmレースの9km付近は、ああもう早くゴールしたいと思ってしまうほど疲れている。

観光客が見守る中をゴール。
あわただしく着替えて、当初の予定どおりに「津和野温泉 なごみの湯」へ向かう。レース会場からは3kmほど離れており、バスかタクシーの方がいいかなとも思ったが、10kmのほどよい刺激が加わったので、歩くのは全く苦にならない。なごみの湯は広々としており、露天もある。いつしか雨は上がっており、心地よい風に吹かれながらの入浴。ああ、極楽極楽。

と言いたいところだったが、フルやウルトラを走った後のような、全身にしみわたる快感がない。10kmレースだと体が温泉を求めるまでの疲労感が得られないということか?
入浴後、津和野駅までは往路と違う道を選んだ。津和野川沿いのサイクリングロードだ。何もないけど、ふらふらと歩くにはちょうどよい。ああ、ゆったりとした旅時間を過ごす町としては最高のシチュエーションだなあ。と思いながら津和野駅に到着。

ここで快適に旅が終了するはずだったが、日本海側強風のため何と特急列車が遅れている。この特急に乗れなければ、新山口接続の新幹線にも乗れず、今日中に帰宅できるかわからないという緊急事態となった。私と同じ旅程を組んでいる観光客が続々と駅にやってきて大騒ぎになった。ひらきなおって東京までの夜行バスの時間を調べ始めたたき、新山口までタクシーを出す、という予想外の展開となった。費用はJRが出してくれるというので、来たタクシーに飛び乗り一路新山口へ。新山口駅では予定の新幹線にぎりぎり飛び乗れた状態だから、私より後のタクシーに乗った人はどうなったのだろうと心配してしまう。

ここまでが津和野でのマラソン報告。
実は今回10kmレースを選んだ理由がもうひとつあった。それはレース前日に石見銀山を走りたいからだ。世界遺産に指定された石見銀山。せっかく島根県に行くのだから、ここはしっかりと見ておきたい。どうせ行くなら走っていこう。前日走るなら、レースは短い距離にしておこう。
レースの前々日大田市に宿泊した私は、早朝の列車で仁万駅へ。そこから銀山の入り口である代官所跡までは約5km。坑道跡に入れる竜源寺間歩まではさらに3kmほど。駅から代官所跡まではあっという間についてしまい、古い町並みを眺めながら間歩までジョグ。観光客のぞくぞくとやってきたが、正直言って見るべきものはほとんどない。なにもないというのが、昔の姿をきちんと留めていることの証であり、それが世界遺産に指定された理由なのだろうが、数々のアミューズメントに慣れてしまった現代日本人にとって、ちょっとつらい世界遺産である。「何にもない」とつぶやいていた小学生が妙に印象的。