2006年12月10日 第2回さのマラソン
彦間川をさかのぼる15km付近
旗川沿いの30km付近。右手は桜並木。春はさぞ絶景だろう。
JR両毛線佐野駅から送迎バスで15分ほどの佐野市運動公園陸上競技場がスタート・ゴール。往復30kmを走った後、往復10kmのコースを走るというV字に近いコース設定。
2006年11月23日。大田原マラソン(栃木県)で47都道府県フルマラソン制覇を達成した私は、次なる目標、すなわち47都道府県制覇2周目を開始することにしたのだが、その最初の県として選んだのは、思い出の地・栃木県であった。
というのはウソ。
お察しとのとおり、4時間制限の大田原マラソンに足切りの不安を感じた私は、何とか今年中に全国制覇1周目を終了させるべく、同じ栃木県で開催され、なおかつ制限時間のゆるやかなこの「さのマラソン」に保険をかけることにしたのだ。
実は大田原を走った数日後、自宅の床に落ちていたスポーツ新聞を拾った瞬間に腰を痛めてしまった。数年前のぎっくり腰よりは数段軽い症状だったが、これがさのマラソンの2週間前のことだった。そんなわけで、このレースは完全に棄権する予定だったが、腰の状態が思いのほか早く回復したこと、またただでさえ走る距離の短くなる12月なので、少しは体に刺激を与えておこうと、栃木県佐野市へ向かったのである。
47都道府県制覇2周目のコンセプトは、これまでいったとこがない土地へ、ちょっと変わったルートでのアプローチをこころみよう、というもの。しかし佐野は栃木県とはいえ、栃木・群馬・埼玉・茨城の4県境にある渡良瀬遊水地の程近く。この遊水地では「渡良瀬遊水地マラソン」やデュアスロンに参加したこともあり、厳密には行ったとこがない土地とは言えないかも知れない。ちょっと悩んだ末、名案が浮かぶ。そうだ、東京駅発の高速バスでアプローチしよう。
渡良瀬遊水地を中心とした関東平野の東部は、東京や神奈川などの西部と比べて鉄道網が手薄な土地が多い。私は学生時代をすごしたつくば市(当時は新治郡桜村)も、最近ではつくばエクスプレスが開通して便利になったが、まさに陸の孤島(失礼!)だった。しかしそのかわりに、高速バスが発達している。時刻表を眺めていると、茨城県の鹿島神宮や岩井(いわい将門マラソンの開催地)、栃木県の足利など、ちょっと行ってみたい街への高速バス網が東京駅八重洲口を基点として広がっている。時折、八重洲ブックセンターへ行くことがあるのだが、そのときこのバスセンターを横目で眺め、いつかどこかへ行ってみたいものだ、と思っていたのだ。
東京駅発足利駅行の高速バスは途中で「佐野プレミアムアウトレット」で下車できる。
佐野駅と「佐野プレミアムアウトレット」はちょっと離れているが、実に広大なしかも真っ平らな土地にアウトレットショップ群が忽然と現れる。周辺には佐野プレミアムだけでなく、大規模小売店がひしめいており、ちょっと不思議な風景。土地ならいくらでもある(?)、まさに関東平野のまっただなかだからできる出店戦略なのだろう。ここからバスで20分ほど行った佐野駅周辺が非常にさびしかったことと対比すると、現代日本の抱える問題点の一端に触れたような気がしたものだ。
さて、さのマラソン当日。
前日は気温が6℃にしか上がらず、氷雨の中佐野ラーメンをすすり、とんでもない寒さの中のレースを覚悟していたのだが、この日は打って変わって好天。佐野駅前から会場の佐野市運動公園陸上競技場までは無料バスが出ている。会場にはランニンググッツの出店が軒を連ね、佐野ラーメン300円の店まである華やかな雰囲気。着替えは競技場のベンチなどを使い、屋外で行うことになるので、今日の好天はたいへんありがたい。荷物を受付に預けることができる。
陸上競技場から10時にスタート。
普通陸上競技場からのスタートといえば、左回りに走るものだが、このレースは右回りにスタート。おそらく初めての経験だ。トラックを半周する間もなく競技場を出る。このレースは関東平野の真ん中の真っ平らなコースと思い込んでいたが、実は佐野市は関東平野の外れに位置していることから、ゆるやかながらアップダウンがあり、なおかつ山を見ながらの走りとなった。
1kmも走らないうちに、長袖Tシャツの袖をまくりあげ、手袋もはずすことになった。まさに汗ばむほどの陽気。しかし、気温はそれなりに低いのだろう、タイムの割りに疲労感は少ない。コースからの眺めはこれといった特徴はないのだが、かえって走りに集中できる雰囲気。前半の彦間川を往復するコースは折り返し付近では往路が右岸、復路が左岸を走るのだが、道が微妙に曲がっていて先を見渡すことができない。左岸に復路のランナーが増えてきたので、このカーブを曲がればついに折り返しかと確信するものの大いに裏切られる箇所がいくつも続き、これが結構つらい。
彦間川を下り競技場に近づいたが、まだ30km手前。今度は旗川の往復にかかる。
この川では河川敷のサイクリングコースを走るのだが、右手には桜並木が続いている。春に走ってみたいと思わせる快適なコース。エイドにはチョコレートとバナナが置いてあったので、ガソ欠を防ぐためにバリバリといただく。そして35kmを過ぎると一般道を走るコースになり、いよいよゴールの競技場に近づいていく。
競技場に入り、100mほど走るとフィニッシュ。そこでスポーツドリンクと完走証をすぐにもらえる。
預けてあった荷物を受け取り、着替え。そして目指すはもちろん300円の佐野ラーメン。しかし、みんなの考えることは同じで、結構な行列ができているので少しのがまんが必要だ。
競技場から佐野駅までは再び無料バスが出ているのだが、競技場からバス乗り場までは5分強歩かなければならないことがちょっとマイナス点。そしてもうひとつの、そしてこのレース最大の残念な点はお風呂だった。実は会場と佐野駅の間にスーパー銭湯があったのだが、バスの途中下車は不可。正に真横をバスで通るため、これは何とかしてほしい点だ。しかし、この大会は今回が第2回。首都圏では数少ない12月のフルマラソンとして少しづつ改善していってほしいものだ。