2006年3月25日 第2回伊豆大島ウルトラランニング

大砂漠から大島公園に向かう長い長いアップダウン。

筆島へ下る80km過ぎ。青い青い海が広がる。

 

伊豆大島・元町港の坂道を1kmほど登ったところにあるつばき小学校がスタート・ゴール(100kmの部)。スタート後、島を反時計周りに約1周。次に三原山を越え、最後は島を時計周りに1周する。標高差500mのタフなコース設定。
去年第1回大会が開催された伊豆大島ウルトラは、大会後早くも「来年は100kmか?」という噂が囁かれていたが、期待どおりに今年は100kmとフルマラソンの2部門で開催されることとなった。宿も去年と同じなら、前日にゆっくりと御神火温泉につかるのも去年と同じというパターンでこの大会に臨んだ私だが、もちろん大きく違うのは、100kmという距離。去年荒れ狂った強風が吹かなかったのはプラス材料だったが、そのプラスを補って(?)余りあるコースの厳しさ。これまで私が走った100kmの中で一番消耗度の激しいレースだった。

スタートから筆島までの約30kmは静かな序章。波浮港の近くのエイドでは名物・コロッケ&メンチカツをいただき、いよいよ51km地点の三原山駐車場まで続く厳しい登り坂に向かう。去年の76kmコースでも苦しんだ、これでもかのだらだら登り。2回目だから多少は慣れるかなと思ってみたが、それは甘い考え。辛いものは辛い。でも今年は何人かのランナーと前後しながら走れたため、気を紛らわせる幸運に恵まれた。目の前がぱっと開けた瞬間に撮影したのが左の写真だが、なんと去年撮った写真とまったく同じ場所だった。人間の(私の)感性は一年経っても全く変わらないということだろう。

51kmのエイドには、いなり寿司やら海苔巻やらで、ボリューム満点。100kmの中間地点での疲労度としては過去最高(最低?)。さらに辛い登り坂を耐えてきた反動が出て、ちょっと食べ過ぎてしまったようだ。ここから一気に元町目指して下るのだが、それを直前にしてお腹をぱんぱんにしてしまったのは、大失敗だった。無事下ることはできたものの、後半の時計周りは、胃袋を押さえての走りになってしまった。大島公園でのおかゆや、どこぞのエイドにあったというおしるこは全く食べれず。胃袋の辛さは増すばかりだ。

筆島へ向かう下り坂では、眼下に広がる真っ青な海に気をまぎらわせつつ、何とか残り10kmまで来たものの、ここで胃袋は限界に達したようだ。90km以降のそれほどたいしたことの無いアップダウンが、酷使した脚をさらに重くしていく。見る見る減速していく私。これまでの100kmレースで何回か経験した「これまでの90kmより長い10km」現象にはまってしまったようだ。考えてみればレース前日、飛行機で大島に到着した私は、空港から元町までのバスが無かったこともあり、約5kmの距離を歩いてしまった。そうか。昨日歩いてしまった5km分、今日は95kmでレースが終わってしまったのだ。

などと思いながら体を引きずっていると、「がんばれ」「あと少し」の声が多くなってきた。どうやら元町に近づいたようだ。意地の悪いことに、ラスト1kmは厳しい登り坂という設定。正に最後の力を振り絞ってのゴール。うれしいことに宿のおかみさんが車で迎えに来てくれていた。ああ。このまま温泉に直行しよう。

去年のこのレース後に、「どうせ走るなら100kmがいいっ!」と思った自分を半分後悔。しかし、100kmになった分、つらい走りになった分、スタッフの方々の温かさが身にしみた。大島の温かさが身にしみた。去年の9月10月の2レースを11時間台で走ることができ、100kmに対しての考えがちょっと甘くなっていたのかもしれない。そんなことをするどく指摘してくれたのもまた100kmだったようだ。

大島での100kmレースは厳しすぎる。と思った日から2日しかたっていないが、来年もまた参加しよう。温かい大島とウルトラを愛するランナーが集うこのレース。ウルトラシーズンにはちょっと早い3月の大島には、やさしさも厳しさも、全部まとめたウルトラのエキスが詰まっているようだ。