2009年5月3~4日 萩往還 140kmの部
折り返しの虎ヶ崎。萩城跡からここまでが結構長い。
復路。ああ美しいと思いシャッターを切ったが、どこだったか覚えていない。
なかなか走れないレースがある。
萩往還は2002年に70kmを走って以来、250kmや140kmに何回かエントリーしたものの、きまって故障が発生してスタートラインにも立てない年が続いた。もう萩往還とは縁がないのかなと思い始めた今年、何とGWを迎えても脚の具合は悪くならず(?)、これは走れるではないか!と喜びいさんで山口に向かった。
ウルトラランナーと名乗るからには萩の250kmを走らねばならない。
しかし数年前から、まず140kmを走らなければ250kmには参加できないシステムに変わっていた。
今年はまず140km。250kmに比べたら距離的にはもちろん短いが、厳しさは140kmの方が上なのではないか。そんな言葉をきいたことがある。
山口瑠璃光寺と萩城跡を往復する70kmコースは二回の山越えを含んだ厳しいコースで、私の脚で10時間はかかるのだが、140kmコースはこの70kmを含んだ上、距離は2倍、しかし制限時間もたったの2倍というもの。想像するだに恐ろしい。
5月3日18時、瑠璃光寺をスタート。
満を持しての萩140kmはランナーが多く、しかも暑いというのが強烈な印象。何しろ参加者は昨年から倍増したとのことで、瑠璃光寺と防府を往復する前半戦は走りにくいほどの集団走が続いた。1時間ほど走るとようやくライトが必要になったが、それでもまだ暑く、しかも集団走。ランナーがばらけたのは往路のしゃもじを越えたころ。
しかし、英雲荘のチェックポイントに到着すると、チェックを受けるランナーが行列を作っていた。山口~防府の往復は早く終わらせて、さっさと佐々並に向かう山道に入りたい。山道に入らないと萩往還を走っているという実感がわかない。何となく妙な焦燥感を抱きながら距離を稼ぐ。山口福祉センターで一服できたのが夜の11時半。「今日中」に前半の山口~防府往復を済ませたいという計画どおりの走りができ、とりあえずはほっとして、いよいよ板堂峠越えに向かう。
真っ暗な山越え。道を間違えたらどうしよう。
スタート前はそんな不安を持っていたが、そこは参加者が倍増したこのレース。山道でも前後のランナーはとぎれず、たくさんのライトが道々を照らしており、コースアウトの不安はいっさい無し。峠を越え、オンロード、オフロードを繰り返し、62km地点の一升谷を下り始める。以前70km走った時は、それほど厳しさを感じなかった谷だが、今回は深夜の谷下りで足元が暗く、しかも不安定な石がごろごろしているため、ほとんど歩きになってしまった。
何とか谷を過ぎ、明木、萩往還公園(70km地点)を通過したころ、白々と夜が明けてきた。朝の6時には萩城跡にいたい。スタート前の第2目標はぎりぎりクリア。萩城跡から虎ヶ崎、東光寺をまわるコースは、70kmの部にはなかった部分で、結構楽しみにしていたのだが、意外と普通の舗装路が続いた。虎ヶ崎に一部オフロードがあったが、全般に単調で、じわじわと体力を奪っていく。陽が高くなるにつれて暑さもやってきた。胃が重くなり、食べ物も受け付けなくなってきた。
おお。これがウルトラだ。
去年10月にえちごくびきのの100kmを走った後、11月のハーフマラソン中に右ひざに激痛が走り、ひょっとしたらもう走れないのではないか。ウルトラはくびきのが最後だったのか。と本気で思った日々がよみがえってきた。苦しい苦しい萩の140kmを走りながらも、再びウルトラを走れた幸福をちょっぴり感じ、胃の痛みはたっぷり感じた。萩の町にわかれを告げ、瑠璃光寺までの復路に入ったが、登りはほとんど歩き。帰りの一升谷は強烈な登り。これも開き直って歩き通すことにした。
佐々並のエイドで名物の豆腐をいただくが、本格的に胃が痛くなってきた。自販機で飲み物を買ったが、飲むのがつらいくらい。気を取り直して走りはじめたが、途中胃痛と倦怠感にたえきれず、あぜ道に10分ほど横になる。苦しみつつも帰りの板堂坂に向かうが、ここで餡子たっぷりの手作り饅頭のエイドがある。この饅頭が美味しいのはわかっていたが、そして密かに楽しみにしていたのだが、胃が受け付けそうにない。涙を飲んでこのエイドはスルー。
そこから峠を越えて瑠璃光寺に向かう道は、意外と楽だったような、ほとんど歩いていたような、実はあまり記憶がない(これを書いているのがレース後1か月経過後ということもあるが)。ただ峠を越え、石畳を下っている時から、ぽつぽつと雨がふってきたことは覚えている。そしていつのまにかザンザンと、本格的な雨降りになったときに、はっきりと目が覚めた。
雨の中のゴール。
レース前は、ゴール後は晴れており、五重塔を眺めながらぬくぬくとしているイメージを持っていたのだが、全くあてが外れた。レース前に着替えて荷物を置いていたお堂に転がり込んで、ヒイヒイ言いながら着替え。しかし、時間ばかりかかってなかなか着替えられない。瑠璃光寺と山口駅間は約2km。その途中に指定の銭湯があるのだが、もう一歩も歩く気が起きない。お堂を出ると目の前にタクシーが止まっているではないか。もはや悩むことなくタクシーへ転がり込んだ。ホテルへ直行だ。
悲喜こもごもの萩140kmが終わった。
これで来年の250kmの切符を手にしたわけだが、はたして来年のゴールデンウイークはどうなることだろう。
000.0km 18:00 瑠璃光寺
021.5km 20:38 英雲荘(防府)
029.3km 21:47 しゃもじ
041.7km 23:29 山口福祉センター
056.8km 02:16 佐々並
066.6km 04:05 明木
077.9km 05:51 石彫公園(萩城跡)
089.0km 07:36 虎ヶ崎
097.3km 09:05 東光寺
108.7km 11:04 明木
118.5km 13:01 佐々並
132.8km 15:59 瑠璃光寺