2006年1月1日および1月6日 石垣島を走る

玉取崎展望台から平野方面を望む。海と山が実に美しい絶景ポイント。

場所は忘れてしまったが、元日から虹を見ることができた。

 

1月1日 石垣→平野
宮古島を走ったときも思ったが、冬の沖縄は朝が遅い。7時ではまだまだ暗い。
しかし今日の予定は、石垣島の南端・石垣市街から、北端の平野まで走ることである。距離も約45kmと長いが、何しろ石垣に帰ってくるためのバスが少ない。1日2本だ。平野発13時10分のバスに乗り遅れると、夕方まで待たなければならないという厳しさ。万が一の後遅れを避けるために、まだまだ真っ暗だが思い切って朝6時半に石垣市街のホテルをスタートした。

市街を抜けるとき、暗いことと、意外と道が複雑なこととでちょっと手間がかかったが、基本的には県道390号をひた走ることにした。空は真っ暗なので始め天気がわからなかったが、少しずつ明るくなるにつれ、残念ながら今日は初日の出が拝めないことがわかった。元日に石垣島の東海岸を走れば、いやでも海から昇る太陽の写真を撮ることができるだろうと思っていたが、この曇天では諦めざるを得なかった。(結局この旅の間、日の出の写真を撮ることはできなかった)

雲に隠れてはっきりとはわからないが、もう十分陽は昇ったであろう頃、カーラ岳付近を走っていた私は、不思議な感覚に捕われた。何しろここは南国である。隣の西表島などは島のほとんどがジャングルである。それにもかかわらず、今走っているこのあたりは、ジャングルどころか草原に近い景色が広がっており、実際に石垣牛が放牧されている。眼の前のカーラ岳などは「ボタ山」かと思うくらい木は生えてなく、裸同然の山である。たとえて言えば、北海道の礼文島に近い雰囲気である。これはなぜだろうか?風が強いから、背の高い木が育たないからだろうか?

そんなことを考えながら走る。時折雨も降ってくる。そうかと思うと陽が射すときもある。そんなくるくると変わる天候が、元日から奇跡的な風景を見せてくれた。そう、行く先々で虹を見ることができたのである。空は相変わらず雲が多かったので、すっきりと晴れ渡った中での虹ではなかったが、大変得した気分である。

ちょうど晴れ間が出た頃、玉取崎展望台に昇ることが出来た。
上の写真のように絶景。海はあくまでも青く、その先にはこれから走る半島が望める。
明石の集落を超えると、これまでしっかりと続いていた歩道が途切れがちになる。未舗装部分も出てくるし、民家の気配もなくなるし、少し心細くなる。帰りのバスの運転手も言っていたが、石垣島に住んでいる彼でさえも、この島の北東にあたる半島に来ることはめったに無いらしい。

雨も強くなってきた。
しかし、南の島はTシャツ、ランパンで走っても寒さを感じないほど暖かかった。
平野への道を少しそれ、平久保崎の灯台へ。緑の海。白い灯台。再びの虹。そして雄大な牧場がひろがる。こんな天気でもここだけは観光客が多く、にぎやかだ。

そして平野。
ちょうど12時にした。ここで1時間ほど時間をつぶして、13時10分のバスで帰ろうと考えていたが、「時間をつぶす」どころかまわりには何もない。食堂くらいあるだろうと考えていたが、大変あまかった。そうこうしているうちに雨も強くなり、心細くなった頃にバスがやってきた。石垣市街から平野に到着した今日(今年)初めての便である。バスに乗ろうとした私に、運転手が大いに驚いていた。この時間より前にバスはなかったはずだし、このあたりに宿泊施設もないので昨日来たわけでもない。いったいあなたはどうやってここまできたのか?と驚かせてしまった。

しかし、この運転手も自転車で石垣島を走り尽くしたほどの人物。
走って来たという私に興味を持ってくれ、石垣までの1時間半、大いに話がはずんだ。
ローカルバスの客は終点まで、ついに私ひとり。バス一台貸切状態。考えようによっては実に贅沢な石垣島の旅だった。